支援メニューの紹介Ⅱ

今回は、第2回目として、「コミュニケーショ ンの向上」セミナーについて、ご紹介します。
保育園におけるコミュニケーションは、職員間だけでなく、園児、その保護者、そして、地域住民が対象となります。
円滑に仕事を進めていくうえで、いずれも欠かすことはできません。
このセミナーは、保育を行っていくうえで求められるコミュニケーション、特に、職員間におけるコミュニケーションを円滑に進めていくためのスキルを身につけるという観点から実施しました。
セミナー紹介
コミュニケーションセミナー内容Ⅰ
テーマ:信頼し合う関係づくり
「ストローク」の考え方を身につける
「ストローク」とは、相手の存在を認めるやりとり(働きかけ)のことです。
ストロークには、「肯定的ストローク」と「否定的ストローク」があります。
信頼し合う関係づくりには、肯定的ストロークが大切です。

肯定的ストローク
- (言語的)
あいさつ、励ます、ほめる、感謝を表すなど - (非言語的)
握手をする、手をつなぐ、頷く、微笑む、手を振るなど
否定的ストローク
- (言語的)
叱る、注意する、「嫌い」など - (非言語的)
にらむ、無視する、舌打ち、見下す、身体的攻撃など

コミュニケーションセミナー内容Ⅱ
チームには4つの成長過程がある
- (形成期)メンバーが集まる
- (混乱期)ぶつかり合う
- (統一期)共通の規範が生まれる
- (機能期)チームとして成果を出す
認知と感情との関係を理解すること
認知 | 感情 | |
---|---|---|
自分は嫌われたかもしれない | → | 不安、つらい、寂しい |
自分がなにかまずいことをしたかもしれない | → | おそれ、焦り |

「ほめる」と「勇気づけ」を分けること
ほめる | 勇気づけ | |
---|---|---|
その人「そのもの」に焦点を当てる | → | その人の「行動」に焦点を当てる |
「結果のみ」に注目 | → | 「プロセス」に注目する |
今からすぐにできること
- 目を見る
- 返事をする
- 自分から近づく
- 笑顔(笑み)を見せる

コミュニケーションセミナーアンケート
セミナーで習得できたこと
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保育業務への活用
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団体別採用力スパイラルアップ事業
支援メニューの紹介Ⅲ
今回は、最終回として、経営者・管理者にとっても極めて重要な「人事考課制度運用のための考課者」セミナーについて、ご紹介します。

人事考課は、昇給や賞与の査定のためだけではなく、人材の育成も重要な目的とされ、具体的には、次のような目的があるとされています。
- 評価基準を明示することにより、期待成果や期待行動を職員に理解させる。
- 公平、公正な評価による処遇を行うことにより、職員のモチベーションを高め、成長や行動変容を促す。
- 評価結果のフィードバックを通じ、上司と部下との仕事に対する認識を共有する。
セミナー紹介
人事考課制度セミナー内容Ⅰ
制度の整備
1:評価シートの作成
職員の成果や行動・姿勢を公正に判断し、それを処遇に反映させ、職員の成長に活用するためには、納得性と公平性のある評価基準が必要です。
このために作成するのが評価シートです。
職種や職位ごとに評価項目は異なり、評価方法も、1から5までの5段階評価が一般的です。自己評価も加えるのがポイントです。

2:評価要素の理解
次の要素があるとされています。
- 規律性
(決められた規律、規則を遵守) - 責任性
(与えられた役割、仕事を責任を持って遂行) - 協調性
(周囲と協調し、良好な人間関係を築きながら仕事を遂行) - 積極性
(周囲の模範となる発言、取組等を率先実施) - 方針理解と実践
(園方針を理解、共感して実践) - 専門性
(保育に対する専門的知識・技術を保持) - 指導育成力
(部下に対し、上司として適切な態度で指導・育成)

人事考課制度セミナー内容Ⅱ
評価のカテゴリーは、大きく次の3つとなります。
業績評価
職責や業績に対する評価
目標を達成するためのプロセスも評価対象となります。
《基準例》
- 保育所の業績
- 職員の定着率
- 残業時間の縮減
- 有休の取得
- 計画の実行性
- 統率力、組織管理力
- 指導育成力

能力評価
職務を行う上で必要な能力
能力には、専門的知識・技術実行力、問題解決力、改善力などがあります。
《基準例》
- 保育の専門知識・技術
- 仕事の正確性
- 仕事のスピード
- リスクマネジメント
- 保護者対応力
- 企画力
- 地域貢献

情意評価
仕事に対する取り組み姿勢
周囲との協調性、自ら行動を起こす積極性、与えられた仕事をきちんと最後までやり切る責任性などがあります。
《基準例》
- 協調性
(チームワーク、人間関係) - 積極性
(自己学習、業務改善) - 責任性
(達成意欲、貢献意欲) - 規律性
(挨拶、身だしなみ、言葉遣い) - 社会性
(社会常識、職業倫理)

人事考課制度セミナー内容Ⅲ
評価の対象と対象外
(評価の対象 )
- 目標の達成状況
- 職務遂行に基づく貢献
- 仕事の出来栄え
(評価の対象外)
- 仕事上使われていない能力
- 行動に移されない意欲
- 私生活、思想信条等のプライベート
5段階評価基準
- (5)他の職員の見本となるレベル
- (4)期待する水準を上回り、部下・後輩への指導も行えるレベル
- (3)仕事の目的・内容を理解し、支障なくこなせるレベル
- (2)仕事に支障をきたすレベル(改善意欲はある)
- (1)行動に問題があり、園児や職員などに迷惑をかけるレベル(改善意欲も確認できない)
留意事項(主なもの)
- ハロー効果
- 被評価者の際立つ特徴に目を奪われ、実際よりも高い評価をしてしまうこと
- 中心化傾向
- 評価に自信がなく、評価が「3」に集まりがちなこと
- 寛大化傾向
- 評価が甘く、高い点数を付けてしまうこと
人事考課制度セミナーアンケート
セミナーで習得できたこと
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保育業務への活用
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団体別採用力スパイラルアップ事業
支援効果のあった主な事例の紹介
- A園(メンタルへスルケアセミナー)
- 職員のストレスや不安に気が付き、寄り添いながら働きやすい職場作りをしていきたいと感じていました。
セミナーに参加し、言葉のかけかた一つで相手の感じ方や気持ちの持ちようが違うことを改めて認識することができました。職員みんなで、何気ない会話を増やし、リラックスできる雰囲気作りを行い、メンタル不調の防止に、早速取り組んでいます。 - B園(コミュニケーション向上セミナー)
- 年齢、経験の差によるコミュニケーションの取りずらさを感じていました。
セミナーに参加し、人の価値観は異なるため、伝え方、捉え方、聞き方に配慮したコミュニケーションが大切であること、人と違うからといって、どちらが正しい、間違っているということはないことを学びました。
この考え方を職場で共有し、円滑なコミュニケーションに向け第一歩を踏み出すことができました。 - C園(人事考課制度運用のための考課者セミナー)
- 人事考課制度を導入するにあたり、考課者の知識や技術がないことを課題に感じていました。
セミナーでは、考課者の評価基準が曖昧であると公正な評価ができにくいので、知識・技術の向上と認識の共有化が必須であることを学びました。
今後、学んだことを活かして公正な評価を行うことにより、被評価者から信頼される制度として運用していく自信を得ました。